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ホモ・ステータセンス

第145国会
衆議院 決算行政監視委員会
質問

1999/07/28


栗本が語る政治の世界

○栗本委員
 栗本慎一郎です。
 文部省、本来なら文部大臣にお伺いしたいところでありますけれども、それは生涯学習にかかわることであります。
 言うまでもなく、学校制度の、あるいは教室の中だけでの教育というものに大きな限界があり、非常に広く、リベラルで緩やかな形で、民間の力も取り入れて教育の現場を広げていこうじゃないか、これは文部省も長く言ってこられたことでありますし、私どもも言ってきたことであります。
 しかし、それに関連いたしまして、平成十一年の六月、すなわち先月、生涯学習審議会から答申が出されました。基本的には多くのところで賛成するところがあり、ぜひ進めていただきたいということがあるのですが、時間がございませんので、簡潔に、ポイントを定めて御質問申し上げます。
 例えば塾というのがある。民間教育の一つの形態であります。かつては進学塾、受験勉強というところから社会に定着、浸透していったのは事実でありますが、今は非常に大きな変化を遂げている。そういうものはなくなっているわけじゃありませんけれども、大きな変化を遂げているプロセスであるにもかかわらず、塾というもの、学校以外のそういうものは、すべて受験地獄とかそういうものにかかわる悪なのではないかという非常に古い考えがまだおありになるみたいで、だから、答申の中で「過度の」という言葉を最初に使っている。「過度の」という言葉には、既にそこに価値判断が入っているわけですけれども、七時以降までやっていたらおかしいじゃないかとか、規制をしていこうみたいなところがあるのが非常に気になります。
 例えば、野山に入って昆虫を調べていこうというふうな塾も既にあります。いわゆる塾ですね。そういういわゆる塾ではないかもしれませんが、ここでは塾と考えられるそういったものがありますけれども、あれこれ規制していこうみたいなことがその中に出てきて、非常に気になりますので、ひとつこの点について、審議会でありますけれども、真意といいますか、今後ともどうお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
○富岡政府委員
 先生今御指摘いただきましたことしの六月の生涯学習審議会答申は、二段の考え方をとっているわけでございます。
 最初の段階の考え方といたしましては、学校外の学習環境として、今先生おっしゃいました、学習塾とかいろいろなスポーツ教室とかの多様な民間教育事業があるわけでございます。これにつきましては、特に今後学校教育をスリム化するというようなことも考えまして、学習塾を含めましていろいろな民間教育事業が、学校教育とは異なる子供たちの多様な学習ニーズにこたえていくという役割が求められていくんだ、これはこれでそういう役割を持っているんだということが第一段でございます。
 第二段といたしましては、しかしながら、子供たちに、長時間に及ぶ通塾とか、あるいは夜間の通塾で健康や心身の発達に著しい影響を及ぼしたり、何度も何度も通塾するというようなことで、例えば、帰ってきてから家庭の団らんとかそういうようなことがなかなかできないというようなことまでいくのはいかがだろうか。過度の学習塾通いと低年齢化ということについて問題点を指摘しております。
 そういうことについていろいろな改善をお願いしたいというようなことを提案しているものでございますが、先生御指摘のように、規制的な手法というのはなかなかとれるわけではございませんので、関係者の議論の輪を広げていくというふうな考え方をとっているところでございます。
○栗本委員
 よくわかります。
 例えば、いろいろな塾というか、進学教室じゃないいろいろな形の教室、自然に触れ合う教室、あるいは島に連れていって、それはもう七時以降になるに決まっているのですけれども、一泊するとかいうのを、一月三つ以内にしろよとか、そういったようなことをちらりとでもお考えであれば、それはおかしいと思います。
 現在いろいろな弊害があるのは、私も承知しております。その弊害をなくしていくのも、そういう規制とか具体的な、これをこうしろ、ああしろというふうな微に入り細にわたった行政指導みたいな形でおやりになるのじゃなくて、基本を、進学塾をなくすには進学競争の不当な、基本的ないろいろな問題をなくしていくことによって、なくさなければならないのですね。そういったところをぜひともお持ちいただくようにお願いしたいと思います。
 もう時間でございます。最後に一言、大臣にかわって局長から、そうだという御返答でもいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○富岡政府委員
 先生御指摘のように、調査によりますと、学習塾でも、いろいろな野外活動なんかの組織化をしたりして活動している塾も今大体三割ぐらいあるようでございますから、私どもとしては、そういうような活動をぜひ進めてほしいということを、学習塾の関係者ともいろいろな協議をしながら進めてまいりたいと思っておるわけでございまして、この間答申を得ましてから、学習塾関係者とも随分話し合いの機会を持つようになりました。
 確かに、七時ということについてはかなり抵抗感があるようでございますが、自分たちも遅くまでやりたいと思っているわけではなくて、むしろ保護者の方が遅くまでいてくれというような要求が強いものだからというような御説明が多かったわけでございます。そういう努力をすることについては割合、私たちもそう思うというふうな御見解をいただいておりますので、私どもとしては、規制という手法じゃなくて、そういうような話し合いの輪を広げていっていただいて、それが保護者にも伝わって、そういうことが自然に広がっていくというようなことを促してまいりたいという構えでおりますので、そういう方向で進めてまいりたいと思っています。
○栗本委員
 時間が来ましたので、終わります。
 どうもありがとうございました。
○原田委員長
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

午後零時十五分散会

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