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参院選で小泉が勝ったと言うが!?

栗本オピニオンレーダー・エッセイ

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729日に第19回参議院通常選挙があった。自民党は,小泉人気に乗って大勝した。これによって、軽めの勝利なら橋本派グループの8月反抗、および9月の自民党総裁選挙での「反乱」が準備されていたのが、再び地下にもぐることになった。

 要するに,(まずは自民党総裁として、ついでその結果としての総理としての)小泉続投である。これが参院選の結果の要であり、ひょっとすると、すべてである。つまり、自民党の内部における小泉の位置が、当面、不動のものになったというだけだ。「当面」。15日の小泉による靖国参拝問題も、決して小泉自身が考えるように軽い問題ではない。対アジア,対米の基本姿勢が問われる問題であることは論を待たないが、国内、とくに自民内部からことが構えられることはなくなったと言えよう。

だが、参議院選挙の結果はよく見ると微妙だ。

  1. 実質の当選者は橋本派が多い。

  2. 投票率が下がって,反自民票が積極的投票に出なかったというのが小泉効果の実体と思える

ということではないのか。このことは、都市派の象徴だと思われている小泉路線なのに、東京・大阪という大都市圏での投票率の不振が目立つ(東京は4パーセント、大阪は6パーセントもの下落)ことからも言えることだ。だから、今回の自民の勝利は、実は9月の自民総裁選での小泉へのバックアップという意味を、主として持つことになったということなのだ。だからひょっとすると、要するに小泉続投だけの意味だというのだ。

白川勝彦の新党自由と希望が敗れ、他方、公明党は投票率の下がる中、数を増やした。自民はまだ、公明の議席を当てにしなければ、参院の過半数を保てない。公明の地歩は強化された、とも言えるのだ。

 そこで、前から問題であった特殊法人の改革(実は、ほとんどは解体が正しい!)や予算の概算における具体的決定が、この機に出来るかどうかが、完全に焦点になってきた。もはや、自民内部の抵抗は、表面上消えることになったからである。

それにしても、白川勝彦の新党自由と希望が勝てなかったのは、残念だった。小泉効果が自保公連立反対というところに対しては「問題をごまかすように働いた」からである。

だが、これで小泉には、掲げた旗を降ろす言い訳がまったく出来なくなった。既に、特殊法人改革の具体策提示は秋まで延ばしてしまったが、それでこの夏を乗り切れるのだろうか。

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